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2026.08.24

農作業での障がい者の就労支援のメリットとは?農福連携の取り組みについても解説

農作業と障がい者の就労支援を組み合わせた「農福連携」が、農業・福祉の両分野で注目を集めています。

農園で働くことで生活リズムが整ったり、社会とのつながりが生まれたりと、障がいのある方にとってさまざまな変化が期待されるでしょう。

しかし、農作業での就労支援にはどのような種類があり、それぞれどのようなメリットがあるのかを正確に把握している方は多くないのが現状です。

本記事では、農作業を通じた障がい者の就労支援の種類とメリット、農福連携の概要や課題、具体的な事例、そして始め方までをわかりやすく解説します。

農作業の障がい者の就労支援の種類

農作業の障がい者の就労支援の種類

農作業を通じた障がい者の就労支援には、大きく分けて「農園型障害者雇用」「就労継続支援B型」「就労継続支援A型」の3種類があります。

それぞれ仕組みや対象者・サポート内容が異なるため、まずはどのような違いがあるかを確認しましょう。

①農園型障害者雇用

農園型障害者雇用とは、一般企業が障がいのある方を自社の社員として雇用しながら、専用農園での作業に従事させる仕組みです。

企業は障害者雇用促進法による法定雇用率の達成を目的として農園と業務委託契約を結び、実際の作業管理・就労支援は農園側のスタッフが担います。

農業の専門知識がない企業でも、農福連携の枠組みを活用して障がい者雇用を実現できる点が特徴です。

農園型障害者雇用の仕組み

農園型障害者雇用では、障がいのある方は一般企業と雇用契約を締結し、従業員として就業します。給与は雇用元の企業から支払われ、最低賃金以上が保障されるのが特徴です。

農園には就労支援員が常駐し、農作業の指導に加えて体調管理・職場適応・定着支援も行います。

企業・農園・障がいのある方の三者が連携して成立するこのモデルは、農作業という身体活動を通じて安定した就労を続けやすいといえるでしょう。

②就労継続支援B型での農作業

就労継続支援B型は、障がいや体調の事情などから一般就労が難しい方を対象とした、雇用契約を前提としない福祉サービスです。

農作業は全国の就労継続支援B型事業所で幅広く採用されており、野菜の栽培・収穫・袋詰めなど、体を動かす作業を通じて働く意欲を育む場となっています。

就労継続支援B型の農作業の仕組み

就労継続支援B型では、利用者は雇用契約ではなく「利用契約」を事業所と締結します。農作業による収益は事業所の運営を通じて「工賃」として支払われますが、最低賃金の適用はありません。

作業時間・内容は利用者一人ひとりの心身の状態に合わせて柔軟に調整できるため、週数日・短時間からのスタートも可能です。

利用には自治体が発行する障害福祉サービス受給者証が必要で、希望する事業所への見学・体験を経て正式利用となります。

③就労継続支援A型での農作業

就労継続支援A型は、就労継続支援B型と同じく障がいのある方を対象とした就労支援ですが、雇用契約を結び最低賃金以上の賃金が支払われる点が異なります。

農作業を行うA型事業所も一部存在しますが、就業能力の面でB型よりも要件が高くなる場合があるのが現状です。

農業分野で就労継続支援を活用する際は、B型からスタートしてスキルや体力を身につけながら、A型・一般就労へとステップアップするケースも見られるでしょう。

農作業の障がい者就労支援のメリット

農作業の障がい者就労支援のメリット

農作業を通じた就労支援は、雇用する企業・農業者、そして障がいのある方それぞれに異なるメリットをもたらします。

ここでは農園型障害者雇用と就労継続支援B型に注目して、具体的なメリットを確認しましょう。

①農園型障害者雇用のメリット

企業側のメリット

企業が農園型障害者雇用を活用する最大のメリットは、法定雇用率の達成・維持がしやすくなる点です。

障害者雇用促進法では、一定規模以上の企業に対して法定雇用率の達成が義務付けられており、未達成の場合は1人あたり月額5万円の障害者雇用納付金が課されます。

農園型障害者雇用を利用すれば、自社オフィスへの受け入れ設備や専任担当者を配置せずとも雇用率を達成できるでしょう。

また、農福連携への参加はCSR・SDGs活動の一環としても注目されており、採用ブランディングへの貢献も期待できます。

障がい者側のメリット

障がいのある方にとって農園型障害者雇用での就労には、次のようなメリットがあります。

  • 一般企業の社員として雇用されるため、最低賃金以上の安定した収入が保障される
  • 屋外での農作業が生活リズムの形成・身体機能の維持向上に役立つ
  • 農作物の成長という目に見える成果が達成感・自己効力感につながる
  • 農園の就労支援スタッフによる日常的なサポートが受けられる

②就労継続支援B型での農作業のメリット

就労継続支援B型での農作業は、障がいのある方に次のようなメリットをもたらします。

  • 雇用契約がないため、体調や症状に合わせて柔軟に出勤・作業できる
  • 播種・育苗・収穫・梱包など農作業の工程は多岐にわたり、得意な工程から取り組める
  • 土や植物・屋外環境との関わりがストレス軽減・精神的安定につながるとされている
  • 季節の変化を感じながら働くことで、生活に規則的なリズムが生まれやすい
  • 地域農業に貢献しているという感覚が社会参加意識を高める

農作業は「取り組めばすぐ成果が見える」仕事として、就労意欲の維持・向上において評価が高い分野です。

農福連携とは?

農福連携とは?

農福連携とは、農業(農)と福祉(福)が連携し、農業の担い手不足の解消と障がいのある方の就労・社会参加の拡大を同時に実現しようとする取り組みです。

農林水産省と厚生労働省が共同で推進しており、2019年には「農福連携等推進ビジョン」が策定されました。

農業従事者・福祉事業所・企業・自治体が一体となって進めることで、地域全体の持続可能な発展を目指す考え方です。

農福連携が拡大している背景

農福連携が全国的に広がっている背景には、農業・福祉それぞれが抱える構造的な課題があります。

農業側では、農業従事者の高齢化と後継者不足による深刻な労働力不足が続いているのが現状です。

特に収穫・梱包などの補助的作業は機械化が難しく、人手に頼らざるを得ない工程が多いことから、障がいのある方の力が新たな担い手として期待されています。

福祉側では、障がいのある方の就労機会の充実と工賃・賃金の向上が重要な政策課題です。

農作業は特定の高度な技能がなくても取り組みやすく、就労継続支援B型等のサービスとの親和性が高い点が農業分野への参入を促しているでしょう。

加えて、国が農福連携に取り組む農業者・福祉事業所向けの補助制度や「農福連携技術支援者」の育成・認定制度を整備したことも、全国的な普及を後押ししています。

農福連携の課題

農福連携には多くのメリットがある一方で、解決すべき課題も存在します。

まず、農業経営者が障がいの特性や就労支援の仕組みを十分に理解していない場合、適切な作業調整や安全管理が困難になるという課題があるのが現状です。

農作業は天候・季節による作業量の変動が大きく、年間を通じて安定した就労機会を確保するには工夫が必要でしょう。

また、農作業による収益と工賃・賃金設定のバランスも重要な課題のひとつです。

農業の収益性が低い時期でも就労支援の質を維持するためには、事業所の安定した経営基盤が求められます。

さらに農業従事者と福祉事業所をつなぐコーディネーターの存在が重要であり、中間支援を担う人材の育成も引き続き課題となるでしょう。

農作業での障がい者の就労支援の事例

農作業での障がい者の就労支援の事例

農福連携や農作業を通じた障がい者の就労支援は、全国各地でさまざまな形で実践されているのはご存じですか?

ここでは農園型障害者雇用と就労継続支援B型のそれぞれの事例をご紹介します。

①農園型障害者雇用「めぐるファーム」

「めぐるファーム」は株式会社NEXT ONEが神奈川県川崎市で運営する農園型障害者雇用施設(新百合丘農園)で、障がいのある方の雇用機会を創出しています。

農園内には農園長やマネージャーをはじめとした支援スタッフが配置されており、農作業の指導から長期的な就労定着まで一貫したサポートが提供されているのが特徴です。

利用する企業は、自社に農業知識や専用施設がなくても法定雇用率を達成できる点を評価しており、CSR活動の一環として活用する企業も増えています。

②就労継続支援B型での農作業「就労支援施設 信州ふれあいの森」

長野県で運営される「就労支援施設 信州ふれあいの森」は、就労継続支援B型として農作業を中心とした就労支援を展開しています。

野菜・果物の栽培から収穫・加工・販売まで農業の一連のプロセスに関わることができ、利用者は目に見える成果を積み重ねながら自信を育んでいるでしょう。

同施設では作業難易度を段階的に設定しており、体力や障がいの特性に合わせて無理なく参加できる環境を整えているのが特徴です。

日々の農作業を通じて規則正しい生活リズムが形成され、精神的な安定が得られたという利用者の声も多く聞かれます。

一般就労を目指した支援も実施

「信州ふれあいの森」では、就労継続支援B型での農作業をステップとして、一般就労を目指す利用者への個別支援も実施しています。

農作業で身につけた体力・集中力・コミュニケーション力・作業管理能力を活かした就職活動の支援や、農業生産法人や一般企業への紹介・アフターフォローも実施しており、利用者一人ひとりの目標に合わせた段階的な支援が特徴です。

就労継続支援B型事業所「大潟屋」ってどんな事業所?

鹿児島県で就労継続支援B型事業所を運営しているのが、「大潟屋」です。農作業やコーヒー生産などを通じた障がい者の就労支援にも力を入れています。

利用者のできること・やりたいことで高い工賃を実現

大潟屋では、令和7年度実績で平均工賃月額が48,000円を超えており、全国平均と比較しても高い水準の工賃支払いを実現しています。

利用者一人ひとりと丁寧に向き合い、やりたいことをしっかりとくみ取りながら、その人のペースに合った仕事を創出してきた結果です。

高付加価値・希少価値のある商品の生産・加工に利用者が携われる環境を整えることで、商品そのものの価値だけでなく、それを生み出す利用者の仕事にも目を向けてもらえるようなブランドづくりに取り組んでいます。

「大潟屋」の取り組みを紹介!

大潟屋で行っている具体的な取り組みを簡単にご紹介します。

①農福連携

当法人では、一次産業である農業と福祉を掛け合わせた農福連携に取り組んでいます。

農薬を使わずに育てたお米や野菜を栽培し、地域のこども園の給食食材として届けたり、スーパー等で販売したりしているほか、子どもたちが収穫体験や農園あそびを楽しめる場としても農園を開放しています。

昨年度からは、畑で育てる「陸稲米」の農薬を使わない栽培にも試験的に取り組んでいます。

②国産コーヒーの生産

2020年からは、鹿児島県・喜界島で国産コーヒーの生産にも取り組んでいます。

気候変動の影響でコーヒー生産地が縮小する「2050年問題」が指摘されるなか、栽培から抽出まで多くの工程に人が関われるコーヒーは、利用者それぞれが自分にできる役割を見つけやすい作物です。

2026年7月には直売所兼喫茶をオープンし、数量限定で「喜界島珈琲」(1杯1,000円)の提供開始を予定しています。

農作業での障がい者就労支援の始め方

農作業での障がい者就労支援の始め方

農作業を通じた障がい者の就労支援を始める方法は、「企業として障がい者を雇用する方法(農園型障害者雇用)」と「農業者として就労継続支援B型事業所に作業を委託する方法」とで大きく異なります。

それぞれの手順を確認しましょう。

①障害者雇用の場合

農園型障害者雇用サービスを活用したい企業は、以下の流れで進めることが一般的です。

なお、国が実施している農福連携に関する補助制度・助成金も積極的に活用することをおすすめします。

  • 農園型障害者雇用サービスを提供している事業者を探す:農園型障害者雇用サービスを展開する会社・農園を探し、資料請求・見学を行います。支援体制・実績・農園の立地・利用料金などを比較検討しましょう。
  • ②自社の雇用計画・予算を確認する:何名をいつまでに雇用するか、雇用形態・給与水準などを社内で決定します。特定求職者雇用開発助成金などの活用も検討しましょう。
  • ③農園と契約・採用活動を開始する:農園側との業務委託契約を締結し、ハローワークや就労支援機関と連携して採用活動を始めます。
  • ④就労開始・定着支援:就労後は農園スタッフや支援機関と連携しながら定期的なモニタリングを行い、安定した就労継続をサポートします。

②就労継続支援B型での農作業を委託する場合

農家・農業法人が就労継続支援B型の事業所に農作業を委託する場合は、次のような手順で進めます。

  • 近隣の就労継続支援B型事業所を探す:農作業の受け入れ実績がある事業所に絞って問い合わせます。都道府県の障害福祉課や農業協同組合(JA)、農福連携コーディネーターへの相談も有効です。
  • ②作業内容・条件を調整する:委託できる農作業の種類・量・期間・工賃単価について事業所と協議します。農業は繁閑の差が大きいため、年間を通じた作業量の見通しを共有することが重要です。
  • ③委託契約を締結する:作業内容・工賃・安全管理・情報共有の方法などを明記した委託契約書を作成・締結します。
  • ④農作業の実施・継続的な連携:作業開始後も事業所スタッフと定期的に情報共有を行い、利用者が安全に・無理なく作業できる環境を維持します。

鹿児島の就労継続支援B型作業所で得意な作業から伸ばしたいなら大潟屋へ!

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農作業を通じた障がい者の就労支援は、障がいのある方の心身の健康・社会参加・工賃向上に大きく貢献する取り組みです。

本記事でご紹介したように、就労継続支援B型の農作業は自分のペースで働きながら得意なことを活かし、地域社会に貢献できる環境を提供しています。

鹿児島県で就労継続支援B型をお探しなら、「大潟屋」にお気軽にご相談ください。

大潟屋では、利用者一人ひとりの得意な作業を大切にしながら、無理なくスキルを伸ばせる環境を整えています。農作業をはじめとしたさまざまな作業を通じて、あなたらしい働き方を見つけてみませんか。

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